ロードバイクで購入後にトラブルが起きやすいBB規格のベストチョイスは?
ロードバイクのBB=ボトムブラケットにはたくさんの種類があり、日々進化しています。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、自分の目的に合った規格をチョイスすることが重要です。
現在のベストバイBBはBB386規格です。理由はページの最後で紹介します。
ボトムブラケットの役割
ロードバイクのペダルを回してチェーンを引っ張るギアクランクの回転を支えるのがBBの機能です。
部品の中でも最も大きな力がかかるので、大きなベアリングが入っています。
力がかかる所なのでひずみが出やすく、走行中にギシギシと異音が出やすいパーツです。
異音の解消にはベアリングの交換やグリスアップなど、手間がかかるので、トラブルが少ないBBが重要。
スレッドかプレスフィットか
まず大きな分かれ目として、ロードバイクのフレーム側にねじ山があるスレッドタイプかねじ山が無いプレスフィットタイプに分かれます。
安心感があるのはスレッドBBです。数十年前からあり、シール性能も安定しているので、異音に悩まされることは少ないです。
デメリットはプレスフィットよりも重いことと、剛性も下がる点です。
ただ、レースレベルを求めなければスレッドBB=JIS規格がおすすめです。
ただ、現在スレッドBBを採用しているロードバイクはかなり少なくなってきました。
15万円以上のロードバイクではほぼプレスフィットが採用されているのが現実です。
軽量で剛性も高くてメリットもあるのですが、
プレスフィットはここ10年で急速に広まってきたので、まだ性能や規格が安定していないのがデメリットです。
スレッドBBの規格
BBの規格はねじの直径とシェルの幅、軸長、クランクの接続方式で決まります。
フレーム側の規格
フレーム規格はJIS規格BBとITA規格BBの2種類です。
①JIS規格BB
入門グレードのフレームは全てJIS規格となっています。
JIS規格BBはISO規格BB、BSC規格 BB、BSA規格とも呼ばれていて、全て同じ物を指しています。
JIS規格BBが入るフレーム幅=シェル幅はほぼ全て68mm、ねじ径34.8mmです。
主にシマノ主導の規格ですが、FSAのBBやTANGE(タンゲ)、スギノなど、ほとんどのBBメーカーも生産しています。
JIS規格BBでもクランクの方式はスクエアテーパー、ホローテック2など、様々ですのでそれは後半で紹介します。
②ITA・イタリアン規格BB
もう一つのねじ切りBB規格がITA イタリアン規格BBです。
フレームのシェル幅が70mmとなり、JISフレームとは互換性がありません。
カンパニョーロのコンポーネントを採用しているロードバイクはこの規格になります。
パッと見ではJISBBとの区分けがつかないので、スペックを見るときにITA=イタリアンBBであることをチェックしましょう。
カンパのBBであっても、JIS用のねじピッチの物も販売されているので、間違えないように注意が必要です。
ボトムブラケット側の規格 ①ホローテックⅡ
スレッドBB=ねじ切りのBBで最もロードバイクで使われるのはシマノのホローテックⅡです。
10万円以上のSORA以上で、プレスフィットBBでない場合には、まずこれが付いています。
2017年からクラリスもホローテックⅡBBを採用したので、シマノのロードバイクは大部分がホローテックⅡに変わりました。
耐久性とメンテナンス性で信頼性が高いです。
現在もシマノはこのホローテックⅡBBを主力商品として販売しています。
BB側の嵌合規格(接続規格) ②スクエアテーパー式
入門クラスの5万円~10万円完成車に使用される規格です。
ホローテックⅡではシャフトがクランク側についてますが、スクエアテーパー式ではBB側にシャフトがあります。
シャフトの径の違いが重量と剛性に影響して、スクエアテーパー式は重くて、剛性も低いです。
シマノのターニーA070以下のグレードやタンゲやFSAなどのBBもほぼ全てロードバイク用はこの規格に収まっています。
スレッドBBはトリプルギアを持ったクランクもあるので、軸長も変わってきます。
例えばシマノのSORAトリプルクランクは以下のBB仕様になっています。
通常のダブルクランクの軸長は113mmですが、トリプルクランクは121mmに設定されています。
- 推奨ボトムブラケット : BB-ES25
- チェーンライン : 45mm
- 軸長 : 121mm
フレーム側の規格が合っていれば、クランクとセットでスクエアテーパー式のBBをホローテックⅡのBBにカスタムすることができます。
BB側の嵌合規格(接続規格) ③特殊な方式
スレッドBBの特殊規格として、オクタリンクやISISという接続方式があります。
ISISはほぼ消滅しましたが、オクタリンクはクラリスグレードで存続しています。
ホローテックⅡとスクエアテーパー式の中間にあたる性能です。
ホローテックⅡに比べて、BB軸とクランクの固定がボルト1本なので、クランクのゆるみが出やすいのもデメリットなので、後からこのBBを選ぶ意味は無いです。
プレスフィット式の規格
BB30は衰退
2010年から2016年にかけて急速に普及してきたプレスフィット式のメイン規格がBB30です。
ただ、この規格にはシマノが追随しなかったのでアダプターでホローテックⅡを無理やりつける状況が続いてきました。
写真を見てわかるように、BB30はフレーム側に直接ベアリングを取り付けるので、メンテナンスを怠ると異音が発生しやすいのが最大のデメリットでした。
FSAが主導してきたBB規格なので、FSAブランドのクランクはそのまま使えます。
シマノクランクを装着するにはアダプターが必要になります。
BB386がBBのベストバイ
現在急速に普及しつつあるのが、BB386(BB386EVO)です。
BB30の進化版で、30mmスピンドルを採用しつつ、アダプターを使えば24mmにも対応しています。
幅広いシェル幅によりBB30と同じ剛性を持ち、カートリッジ式ベアリングを採用しているのでシール性も向上。
結果的に異音問題が解決されて、現在の理想のBBと言えます。
BB386の最大のメリットはシャフト径を選ばないことです。
BB386と比較してBB86(プレスフィットBB)はスピンドル径が24mmに限定されます。
BB30が非常に大きなシェアを持ったので、30mmスピンドルのクランクを作るクランクメーカーはたくさんいます。
特にパワーメーターなどを装着したい場合など、30mmスピンドルがフレームに入らないと選択肢が狭まります。
さらに、ベアリング径が大きい(BB86よりも+5mm)ため、シートチューブやダウンチューブなどの接続性が良く、フレーム設計の自由度が向上するメリットがあります。
シマノ、FSA、SRAM、ROTOR、Sugino、なんでも対応してくれて、異音の心配が無い理想のBBと言えます。
スギノからは24mmスピンドルがアダプター無しで使えるBB386用のBBも販売されています。
プレスフィットBB(BB86)
シマノからもPRESS FITとして、販売しているBB規格。
シェル幅86.5xベアリング41mmというサイズです。
JIS規格用のホローテックⅡボトムブラケットをフレームに埋め込んだようなデザインで、BB幅が広がり、ベアリング径も拡大することで剛性が向上します。
何といってもポイントはシマノが公式に採用しているBBという点です。
24mmスピンドルのアルテグラクランク、105クランクなどが使えるので、シマノのクランク正式対応品という安心感があります。
異音に関しても、BB386EVOと同じく解消されています。
デメリットはベアリング径が小さいので、30mmのクランクスピンドルが使えない点です。
将来30mmスピンドルクランクが優勢になる可能性も考えると、この点が最大のデメリットです。
プレスフィットBBを販売しているブランド
買ってはいけないBB
- BB30
異音問題が多いので、やめておいたほうが良いです。
ちゃんとメンテナンスをすれば良いのですが、定期的にグリスアップをしない人はやめておきましょう。
- BB30A
BB30と同じ直接圧入式のBBなので、異音問題があります。
こちらもメンテナンス頻度が1年に1回とかいう人はやめておきましょう。
- BB90
こちらもBB30Aと同じく水に弱いベアリングむき出しのボトムブラケットなので、高頻度なメンテナンスが必要です。
あまりおすすめできません。
上記BBがおすすめできない理由は主に音鳴りという点です。レースにおける軽量さという点ではBB30、30A、BB90などのBBはプレスフィットBB(BB86)やBB386EVOよりも優れています。数十グラムを軽量化したいピュアレーサーにとってはメリットがあります。
- PF30
プレスフィットBB(BB86)と似ていてややこしい名前のPF30(プレスフィット30)というBBがありますが、BB30のカートリッジベアリング版でこちらも消えていく規格になります。